腎炎は困難な病気で、漢方医学においても治療は難しいもののひとつです。
腎臓は尿を作って排出するところであり、体内にできた老廃物を排除する役目を持っていますが、何らかの感染症によって炎症を起こすと、その役割が困難になります。
従って、漢方の治療も炎症そのものより、随伴症状のむくみや、尿不利の改善を目的とします。
漢方医学では「腎」は、生命エネルギーの源とし、腎の病は他の臓器の病につながると考えられます。
「海馬補腎丸(かいばほじんがん)」という中国の漢方薬は、腎や膀胱(ぼうこう)系の働きを高め、生命エネルギーを増進するといわれ、それによって進行性の炎症を抑えることができます。
随伴症状の改善薬としては「五苓散(ごれいさん)」という薬が良いようです。
膀胱系を温め、血管内に水分を引き込み、利尿作用を起こします。
口渇の有無が目安となります。
またステロイド効果が高いといわれている「小柴胡湯(しょうさいことう)」もよく用いられます。長期的に体質改善を含めて連用するとよいでしょう。
昔から腎臓の悪い人や尿の出にくいひとは、足の裏の湧泉(ゆうせん)にお灸をするといいといいます。漢方薬と併用すると効果的しょう。